『殿、利息でござる!』(2018年:日本)

2010年代

映画『殿、利息でござる!』は羽生結弦さんが思った以上に「殿」でした。

これは、江戸時代に本当にあったお話。歴史に埋もれた古文書を歴史学者の磯田道史先生が小説に書き起こし、映画として世にでることになりました。

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『殿、利息でござる!』あらすじ

仙台藩吉岡宿では藩の荷役業務である「伝馬役」費用の負担が重くのしかかる。そのため、年々宿場の家が夜逃げするありさま。

そんな窮状をみかねた穀田屋十三郎はお上に直訴を願い出ようとするが、菅原屋に止められる。

知恵者の菅原屋に「仙台藩に金を貸し、その利息分で伝馬役の負担をまかなう」という奇想天外なアイデアを本気にし、金集め、仲間集めに奔走し始める。

やがて十三郎の宿場を思う気持ちに打たれた商家や肝煎(名主)たちを巻き込み、家財売却、質素倹約につとめ、ようやく五千貫を貯めるのだが…

個性豊かな無私の人々

磯田先生の原作ではあまり語られなかった出資者たちの性格や内情が描かれています。

名誉欲の強いものや、金を出し渋るものもいて多種多様で面白い人たちでした。

原作ではクールな知恵者の菅原家さん。映画はいきあたりばったりでお調子者、若い妻には頭が上がらないというのが魅力的でした。

また、宿場のためにと奔走する穀田屋十三郎さんも、長男なのに養子に出されたコンプレックスを家族にもっていたり、息子とうまくいってなかったりと問題が山積み。

後にそれが誤解とわかり、弟の朝野家甚内や息子とも和解します。穀田屋さん、浅野屋さんたちの家族愛がすばらしかった。

実は父親は早くから宿場のためにと金を貯め、守銭奴と言われようともそのことを家族以外に明かさなかったのでした。

羽生結弦さんの殿様

そして、伊達重村(殿様)役の羽生結弦さん。なんだかもう、想像以上に「殿」でした。

顔が小さく、着物を着こなし、所作が美しく、そりゃみんなひれ伏すわ…。

これが演技初体験とは思えない、堂々とした殿様ぶりでした。

磯田先生の著書『日本史の内幕』によると、監督が「個性の強い役者たちを超える存在」を求めた結果、羽生結弦さんに白羽の矢があたったそう。

舞台となった宮城出身の羽生さんも「故郷のためなら」と、オファーを受けられたのだとか。

そして、映画には原作者磯田先生ご自身も出演。そのあたりの内幕も本に書かれています。

昔の書類を読む姿がしっくりきすぎてぱっと見わからなかったのだとか。私も最初、わかりませんでした…。

善意のリレー、感動のドミノ

街の窮状を救うために店を潰す覚悟の十三郎たち。彼らに刺激され、貧しい人足たちも動き出します。出資に参加しない商家を説き伏せたり、小銭を集めたりと協力を申し出ます。

一度は退けられたものの、善意の代官・橋本の熱意でついに十三郎たちの案が通ることに。さすがはタテ社会官僚国家日本。上に奏上するのにも人を何人も経なければなりません。

十三郎たちの努力もさることながら、肝煎(地主)、大肝煎、代官などの実力者たちの協力がなければ成し遂げられることはできなかったでしょう。

一つのことを命がけでひたすら行う。十三郎たちのその姿こそが殿様を動かしたのでしょうね。

また、この小説化・映画化にあたっても、様々な人々がこの話に感銘を受けて尽力してくれたのだとか。

穀田屋十三郎さんたちは子々孫々に「決して人に漏らすな」と言い伝えたそうです。でも、どんなに隠そうとしても、感銘を受けた人々は語り継がずにはいられなかったのでしょう。

歴史とは時に不思議な力を発揮して、それ必要とする時代に掘り起こされるようにできているのかもしれません。

原作はこちら『無私の日本人』はこちら。

穀田屋十三郎のほか、人のために尽くした名もなき偉人が描かれています。

著:磯田道史
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