「友だちのパパが好き」。このタイトルだけみると、ちょっと切ない、ラブストーリーなのかと思いきや、けっこうなホラーでした。
そして、下手なホラーより、人間の心がずっと怖い。でも面白い。で、ちょっとエロい。
山内ケンジ監督は、 本音と建前や、建前にひた隠した醜い部分を「笑い」にしてみせてくれるのですが、その描き方が徹底していて怖いくらいなんです。
けれど、目が話せないのです。そして、一度観るとやみつきになるのです。
「友だちのパパが好き」にでてくるのは、私達の隣にいそうな、普通の人々。
本来なら「建前」で覆い隠している人間の本音の部分が、主人公のマヤの行動によって、浮き彫りになっていく。
その姿はとても醜くて欲にまみれているのですが、でもどうしても嫌いになれない。
「友だちのパパが好き」 あらすじ
妙子は、ある日友人のマヤから「あなたのパパが好き」と告白される。
妙子も、母親のミドリも、最初は相手にしていなかった。
しかし、マヤの行動はエスカレートし、恭介を駅で待ち伏せしてメル友になる。
ミドリとの離婚が決まると、今度は愛人のハヅキと恭介の仲を裂こうとする。一方でマヤに別れを告げられた元担任の田所は、マヤ恋しさに狂気に走って行き…。
普通の怖さ、普通じゃない怖さ
私が怖いなあと個人的に思ったのは、吹越満さん演じる恭介さんが、娘に離婚の説明をするとき「震災とかいろいろあって…」と、震災を言い訳に「普通に」使っていたことです。
おそらくこの人、震災では被害を受けず、親戚、知り合いも被災していないんじゃないかな。
だから「普通に」言い訳に使える。そして、日本中に同じような言い訳をしている人がいるんだろうな、と考えたら、ちょっと背筋が寒くなりました。
妙子も、彼氏と自分の関係を聞かれて「好きだよ、普通に」って答えてる。
これは、マヤのように本気になれない自分をごまかすための「普通」なんだろうな。
それを「普通じゃない」マヤがかき回していくのがまた、怖いんだよなあ。
考えてみたらこの映画「恐怖」と「笑い」と「エロ」と、人間がほしい感情が全部詰まってますね。だから面白いのかも。
