『大魔神』(1966年:日本)

大魔神 1960年代

今なお愛される特撮時代劇の金字塔、あらゆる方面に影響を与えた映画『大魔神』。

特撮と時代劇のみごとな融合、勧善懲悪の中にも、抗えない巨大な力に翻弄される人間ドラマも描かれます。

『大魔神』あらすじ

戦国時代、領主の花房家を家臣の左馬之助一派が急襲。下克上の末、領主夫妻は殺され、残された忠文・小笹兄妹は追手が届かぬ魔神の山に身を潜めた。

家臣の小源太は、彼らは忠文の成長を待ち決起を図ることにした。

2人が潜んだ山には魔神・阿羅羯磨(あらかつま)が祀られ、人々の信仰をあつめていた。10年後、決起を図る忠文と小源太だったが、仲間と連絡を取ろうとしたところ、左馬之助らに捕まってしまう。

一方で左馬之助は人々の希望を奪うため魔神像を壊そうとする。山に潜んだ小笹もつかまり、魔神像が壊されようとしたその時、大地が震え、神の姿は恐ろしい魔神へと姿を変えるのだった…。

今だっだら確実にPG-12作品

勧善懲悪の時代劇ではあるものの、部分的な描写が結構恐ろしい。
左馬之助に切り殺される巫女の怨念こもった最期、大魔神の怒りにふれ踏みつぶされる人、地震で埋められ、腕だけが出ているシーン。

そして極めつけは、悪役左馬之助が大魔神によって自分がはりつけにされ、楔で刺されるシーンなど、子供なら確実に夜、トイレに行けなくなる凄惨さです。

不完全な勧善懲悪と神道

そして、この大魔神、善の願いに答えて悪を懲らしめるだけの存在ではありません。怒りにまかせて暴走し、左馬之助たちだけではなく、罪のない領民たちまで危害を加えます。

大魔神というのは「荒魂」「和魂」という神道の考えなのでしょう。

「荒魂」は神の荒ぶる部分であり、それを平時は和魂が抑えている。「風の谷のナウシカ」王蟲の「怒りで我を忘れている」状態だから誰の制止も聞かない。

この時点で祭祀をつかさどる巫女はなくなっているし。

ただ一人、花房の姫・小笹の清い涙だけが荒魂を鎮めることができたのです。これもまた、古来から純潔の乙女が力を持つとされ、神に仕えるという昔ながらのルールが適用されています。

子どもの頃はただただ怖かった「大魔神」ですが、大人になってよく見てみると、日本独自の風習や神事が物語に影響を与えているのですね。

『荒神』と『大魔神』

大魔神に影響を受けたのではないかと思われる、宮部みゆきさんの「荒神」。江戸時代、正体不明の化け物が見境なく人間を襲います。

「荒神」でも、神をも恐れぬ悪役は、一介の浪人から殿様に取り立てられて国を操ろうとしているエピソードは「大魔神」と似ています。

なすすべのない強大な力に、恐怖にさらされながらも抗う人々と、そんな力を利用しようとする人々の姿が描かれます。

著:宮部 みゆき
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