『十角館の殺人』は、そのトリックから「映像化不可能」と言われた名作ミステリ。それを今回、Huluオリジナルドラマとして映像化。
果たして、「あの1行」をどうやって再現するのか、とワクワク・ドキドキで視聴。伏線の貼り方や犯人の描写、トリック、登場人物たちの個性。
どれも素晴らしくて、原作ファンの私も大満足の出来でした。
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『十角館の殺人』あらすじ
1986年、大分県にある角島で建築家・中村青司が起こした殺人事件。それの事件を推理すべく、大学ミステリ研メンバーが島へ合宿にやってくる。
彼らは部の伝統から、お互いを推理作家の名前で呼び合っていた。オルツィ、カー、ルルウ、アガサ、ポウ、エラリイ、ヴァンと…。
一方、合宿に参加しなかった江南の元へ、死んだはずの中村青司から脅迫状が届く。脅迫状を調べる時知り合った風変わりな大人・島田潔とともに中村青司と娘の千織について調べることにした江南。
その頃島では次々とメンバーが殺されていき…。
役者さんの表現力のすごさ
いやもう、若手の役者さんたちの演技がいい。彼らが登場人物たちに完全になりきらないとこの物語は成立しませんからね。
長濱ねるさんは欅坂時代は美しく知的なイメージだったので、てっきりオルツィを演じるかと思っていたらまさかのアガサ。
奔放で女王様っぽいアガサが見事に演じられていました。これには欅坂ファンの綾辻先生も喜んだのでは。
そして、なんといっても島田潔役の青木崇高さんが素晴らしかった。
もう、映像みてからというもの、館シリーズを読んでいると青木さんの島田潔が館に押しかけたり、折り紙したりする姿が浮かんでしまうのです。
伏線の貼り方
なんだか懐かしさを感じる演出だなあ、と思ったら、監督はかつて綾辻行人先生、有栖川有栖先生が参加したミステリードラマ『安楽椅子探偵シリーズ』の監督をつとめていた内片輝氏。

伏線の貼り方、見せ方が見事で、ちょっとしたところにヒントがあったり、原作にはない恋愛パートが丁寧に描かれることで犯人の動機がより深まったのも説得力があったと思います。
犯人の見せ方も見事でした。たった一人だけ、正面から映さない人物がいるんですけど、それを違和感のないように成立させているんです。
で、最後に島田さんがあの場所に行ってるシーンがちょっと写っています。ということは島田さんは犯人がわかっているんですよね…。
ここからちょっとネタバレ(未視聴の方は読まないでください)
物語のラスト、島田の兄が守須に問いかけるシーンが素晴らしかった。
突風が吹き、まとめていた髪がとけ、守須が顔を上げる。あそこにいたときと同じくぐもった口調で「…です」と答えるんです。
勘の良い視聴者なら4話あたりから「あれ?あの役者さん?」と勘づいたかもしれませんが、同時に「なんで?」と思ったかも。そこから最終話で驚くべきトリックがあかされていくのです。
守須役の役者さん、素晴らしかった。きっとこれでずっと役者として食っていけるよ。それくらいすごかった。
ああ、でも、やっぱりこの話は詳しくネタバレできない…!興味を持たれた方、ぜひ見てください…そして原作もぜひ…。
