ビリー・ワイルダーのコメディ映画『アパートの鍵貸します』。
「お熱いのがお好き」で女装のバンドマンを演じたジャック・レモンと『ハリーの災難』のシャーリー・マクレーン、おかしくも切ない、ラブコメディ映画。
上司の浮気のためアパートを貸す主人公が、上司の愛人に恋をしてしまい…。
『アパートの鍵貸します』あらすじ
C.C.バクスターは、小遣い稼ぎと出世の足がかりとして、自分のアパートを上司の浮気部屋として時間貸しをしていた。
念願かなって管理職になったものの、シェルドレイク部長から半ば脅された形で部屋の鍵を要求される。
実は部長の『お相手』は、バクスターが憧れていたエレベーターガールのフランだった。
シェルドレイクとの別れ話がこじれ、バクスターの部屋とは知らずに自殺を図るフラン。バクスターは懸命に介抱するが、彼女の心はまだシェルドレイクにあって…。
まったく、男ってやつは…!
見る前はアパートの鍵貸しのバクスターが、上司に逆らえず、好きな女と上司の密会部屋を提供している情けない男だと思っていました。
でも、バクスターの方も「鍵貸し業」は出世のチャンスとしてやっていたので、結構したたかなんです。
けれど、フランにみせた献身だけは、純粋で。彼女を守るために自分を犠牲にする姿がとてもすてきでした。周りが浮気野郎ばっかりだから、よけいに。
しかし、浮気するのに人の部屋を借りるって、ホテルや相手の部屋だと人目につくからでしょうか?アメリカにはラブホテルとかはなかったのかな?
とにかく、その時代に男が浮気するには、妻のバカンス中の自宅アパートか、他人のアパートの鍵を貸りるしかなかったのでしょうかね。
妻のバカンス中に、他の女性をアパートに連れ込むドタバタ劇のモチーフは同じく『七年目の浮気』でも出てきます。こちらは未遂ですが。
差別の見本市のような作品
『アパートの鍵貸します』はビリー・ワイルダーがコメディタッチで描いているから、面白く見れたんです。
でも、この映画は女性にとって腹立たしい内容でした。
50年代~60年代のアメリカはまだまだ男性上位社会。シェルドレイク部長、妻子がいるのに、社内恋愛で女をとっかえひっかえしているなんて!
今そんなことやったらセクハラで懲戒免職処分ですよ。
フランへのクリスマスプレゼントは現金だし。女をなんだと思っているのか。おまけに元カノの秘書がフランに忠告したと聞き、勝手にクビにするし。
フランはあんなの選ばなくて正解。ああいう輩はどうせまた、浮気するだろうしね。
シェルドレイクも、浮気を繰り返す課長たち共々、離婚されて裁判起こされて財産没収&懲戒免職処分くらいされればいいのに…。
と、女性の目線からだと、どうしても憤懣やるかたない内容でした。
また、デートがチャイニーズレストランなのも人種差別的です。「アジア系はどうせ英語ができないから、何を言ってもわからない」とシェルドレイクは考えているからでしょう。
こうしたシーンにも、眉をひそめるような差別がふんだんに散りばめられています。
